兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なり

始計篇

●兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なり

へいはくにのだいじにして、しせいのち、そんぼうのみちなり


兵とは国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり。
故にこれを経(はか)るに五事(ごじ)を以てし、これを校(くら)ぶるに計(けい)を以てして、其の状を索(もと)む。

一に曰わく道、二に曰わく天、三に曰わく地、四に曰わく将、五に曰わく法なり。

道とは、民(たみ)をして上(うえ)と意を同(おなじ)うし、これと死すべくこれと生くべくして、危(うたが)わざらしむるなり。
天とは、陰陽(いんよう)・寒暑(かんしょ)・時制なり。
地とは、遠近・険易(けんい)・広狭(こうきょう)・死生なり。
将とは、智・信・仁・勇・厳(げん)なり。
法とは、曲制(きょくせい)・官道(かんどう)・主用(しゅよう)なり。

凡そ此の五者は、将は聞かざることなきも、これを知る者は勝ち、知らざる者は勝たず。故に、これを校(くら)ぶるにするに計を以てして、其の情を索む(もと)。

曰わく、主(しゅ) 孰(いづ)れか有道(ゆうどう)なる、将 孰れか有能なる、天地 孰れか得たる、法令 孰れか行なわる、兵衆 孰れか強き、士卒 孰れか練(なら)いたる、賞罰 孰れか明らかなると。

吾(われ)、これを以て勝負を知る。


兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なりについてより詳しく教えてください。

  • 平和に慣れてしまった日本人はこの言葉の意味するところをすっかり忘れてしまっているようです。
  • 兵は、兵(へい)とも兵(ひょう)ともいわれますが、「へい」は集団での組織的な戦い、「ひょう」は個人の戦いを表していることが多いようです。例えば柳生の兵法(へいほう)、兵法者(ひょうほうしゃ)の宮本武蔵のように。
  • 兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なりという言葉は、戦争や軍事に関わる重要性を強調しています。
  • 兵士たちは、国家の安全や繁栄のために戦い、自らの生死を賭けて戦場に立つ存在です。そうした人たちがいなければ国は存続できません。
  • 兵は単に戦闘員としての役割だけではなく、国家の象徴でもあります。彼らの姿勢や勇気は、国民の結束や国家の威信に直結しており、国家の存亡に大いに関わっています。
  • 戦争における軍事力や防衛力が不十分であれば国家の存続が危うくなり、外敵から攻められる可能性が高まります。そのため、兵士たちの訓練や装備、武器の確保、指揮官や戦略家の育成に力を入れることが重要です。
  • このように、「兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なり」という言葉には、兵士たちの存在が国家のためにどれほど重要かが示されています。彼らは国家の安全や繁栄のために自己犠牲を厭わず戦い、国家の存亡に貢献する存在として大切にされるべきです。

実際に活用した例にはどのようなものがありますか?

  • 戦国時代の武将、織田信長は、兵を国の大事と考え、優れた軍事戦略と組織力によって戦国の乱世を終わらせ、統一した。
  • 明治時代の西郷隆盛は、兵を存亡の道と捉え、鹿児島での西南戦争で新政府軍との激戦を繰り広げたが、敗北し、最終的に命を落とす結果となった。
  • 近年の自衛隊の国際平和支援活動は、兵を死生の地と位置づけ、南スーダンやイラクなどでのPKO活動を通じて、国際社会での存立を果たしている。

日常生活や仕事の中で、どうやって活かしたら良いですか?

  • 戦略的思考を身につけることが重要です。国の存亡に関わる重大な決断を行うため、兵士は日常生活や仕事の中で戦略的な考え方を身につける必要があります。例えば、リーダーシップ能力や問題解決能力を磨くことで、国の大事を守るための戦略的な行動を取ることができます。
  • 意思決定能力を鍛えることも重要です。国の存亡に関わる任務を遂行する中で、兵士は瞬時に正確な判断を下す能力が求められます。そのため、日常生活や仕事の中で意思決定力を鍛えることは重要です。例えば、緊急時の対応策を考えるトレーニングを行ったり、ストレスの中で冷静な判断を下すための訓練を行うことが有効です。
  • 組織を大切にすることが必要です。兵士は国のために働くことが求められるため、組織内での連携や協力が不可欠です。日常生活や仕事の中で、チームプレイやリーダーシップの重要性を理解し、組織の一員としての責任を果たすことが重要です。
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